アトピー性皮膚炎は、痒みを伴う湿疹が皮膚に起こる病気です。
この痒みを伴う湿疹は「肌が炎症を起こしている状態」であることに注目して下さい。
湿疹の起こる箇所は限定されず、頭皮から足の先までいたる所にできる可能性があります。
また湿疹は、身体の左右対称に起こりやすいことも特徴の一つです。
アトピー性皮膚炎の要因は「アレルギー」と「皮膚に炎症を起こしやすい体質(とくに
乾燥肌)」によるものとされています。
アレルギーの原因となるアレルゲンは特定の物質に限定されてはいませんが、ハウスダスト
(室内の塵や埃)が関係しているケースが多くみられます。また、乾燥肌の皮膚は外からの
刺激にとても敏感で、少しの刺激で肌荒れ(炎症)が起こります。
アトピー性皮膚炎は、炎症が起こりやすい皮膚に過剰な抗アレルギー反応が慢性的に繰り返し
起こっていると考えられます。
★アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の要因となるアレルギーや体質的な皮膚の弱さを短期間で改善することは
困難です。このため、アトピー性皮膚炎には、まず皮膚の痒みと炎症を抑える対症療法が
行われます。
アトピー性皮膚炎の治療にはおもに、皮膚に塗って使う外用薬と過剰なアレルギー反応を
抑える内服薬(抗ヒスタミン薬)が使用されます。また、とくに症状が酷い場合は、期間を限定
してステロイド内服薬が使用されることもあります。
皮膚に塗る外用薬は、皮膚の状態と湿疹のできた部位にあわせて選ばれます。
湿疹の状態が酷く、炎症が強い場合はステロイド外用薬が使用されます。
★ 湿疹から炎症が消えるまで
ステロイド外用薬は「強さ」によって5段階に分けられています。この強さは
「身体への吸収率」によって決められています。身体の吸収率は、身体の部位によっても
変わっています。例えば、手に比べて顔の吸収率はずっと高くなります。
こうしたことから、ステロイド外用薬は症状のある部位と湿疹の状態に合わせて、何種類
かを使い分ける必要があります。
ところで、ステロイド外用薬を使って症状が良くなったが、すぐに元に戻ってしまったと
言う場合、確かにアトピー性皮膚炎には症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す
特徴があります。とはいえ、すぐに症状が元に戻るというのは、湿疹の炎症が完全に治まる前に
薬の塗布を止めてしまっているケースがほとんどです。ステロイド薬は、単なる痒み止め
ではなく、炎症を抑えるための薬です。痒みが薄れると自己判断でステロイド外用薬の塗布を
止めてしまうケースが見受けられます。ステロイド外用薬は湿疹から炎症が消えるまで使用を
続ける必要があります。ステロイド外用薬の塗布を止める時の判断は医師にしてもらうのが
最善です。ステロイド外用薬は医師の指示に従って適切に使用している限り、非常に安全な
薬です。自己判断でステロイド外用薬を使ったり使わなかったりするのは、アトピー性皮膚炎を
かえって悪化させることになるので注意してください。
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