特定健診の主な目的はメタボリックシンドローム（内臓脂肪症候群）の早期発見と早期治療です。

厚労省の調査によるとわが国４０～７４歳の男性の２人に１人、女性では５人に１人がメタボリックシンドロームを強く疑われます。

メタボリックシンドロームは虚血性心疾患や脳血管疾患や糖尿病や慢性腎疾患の発症のリスクが２～3倍高いと報告されています。

メタボリックシンドロームの診断基準では腹囲が基準値（男性85ｃｍ、女性90ｃｍ）を超え、さらに血糖（空腹時≧110ｍｇ/ｄｌ）、血圧（≧130かつ/または≧85ｍｍHg）、血中脂質（中性脂肪≧150、HDL≦40ｍｇ/ｄｌ）のうち２つ以上が基準値以上の場合は診断されます。

メタボリックシンドロームは肥満とインスリン抵抗性という共通の病態を基盤として、高血圧、脂質異常、高血糖が重積し,動脈硬化に基づく心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが増大する疾患です。栄養過剰や運動不足などの日常の生活習慣が原因となっています。そのメカニズムとして脂肪細胞から分泌される生理活性物質アディポサイトカインの異常が重要です。内臓脂肪の蓄積により種々の炎症性・血栓性アディポサイトカインの増加が見られ、インスリン抵抗性、高血糖、脂質異常、高血圧、血液凝固異常、炎症、血栓症などを引き起こします。

メタボリックシンドロームは放置しておくと、動脈硬化が進展し、やがては、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な病気を引き起こす危険性が高くなります。しかし健診から早期発見することができるので、生活習慣を改善することにより、こうした生活習慣病の発症を減少させること、また、早期の治療により重症化を防ぐこともできます。従って健診によるメタボリックシンドロームの早期発見と早期治療はきわめて重要です。