神奈川県大和市漢方、漢方医、漢方外来、漢方内科、漢方皮膚科、漢方婦人外来、内科、皮膚科、整形外科、小児科、リハビリ科

Okabayashi Clinic

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漢方ミニ知識
*漢方とは*
一般に現代医療では、検査などで病名が確定した後に治療が行われています。これに対して漢方薬はまだ病気にまでは至らない半健康な状態(未病)の時にも治療することができる薬です。未病の時に体が発するシグナルに個々に対応し、きめ細かな治療を施すオーダーメイド的考えが漢方なのです。または、自覚症状があるのに、検査しても異常が出ない場合、現代医療では診断ができないため、薬も出せない状態にも漢方では治療できます。
漢方薬とは天然物である生薬(薬草の根や茎、葉などの有用部分を乾燥させたものや動物由来のもの、鉱物など)を2種類以上組み合わせた薬。生姜、シソ、ニッキといった身近な食材の延長が多く、ナチュラル志向の現代の中で、安全性の高い薬として注目を集めています。
漢方は中国から伝わったもので、医食同源、薬食同源という言葉は漢方から発したものです。漢方薬には、症状の原因と同時に体質を改善していく効果もあり、体質強化や予防にも高い効果を発揮すると考えられています。
医療が進化したおかげで、日本人の平均寿命は世界のトップクラスとなりました。しかし、病気ひとつひとつを治療する薬は開発されても、体全体の健康に働きかける薬は生まれていません。ところが、漢方は体質そのものを改善する、大きな効果を持っています。

*胃腸のトラブルによい漢方薬*
ストレス、疲れ、飲みすぎ、食べすぎなど、さまざまな原因でトラブルに見舞われる胃腸。健やかに保つことを心掛けて日々の生活を送ることが大切ですが、不調を感じたら漢方薬によって早期に症状を改善することが、健康への近道です。
胃腸のトラブルは主に“水害・冷害”“ストレス”“虚弱”の3タイプ。特に夏場に多い“水害・冷害”タイプの症状に用いられる『胃苓湯』は、消化不良を整え、健胃の働きがある「平胃散」に、水分代謝をよくする「五苓散」を加えた漢方を代表する胃腸薬です。
吐き気や下痢などを伴うこともある胃腸型の風邪には、体内の湿気を取り、下痢の症状を改善する働きを持つ『胃苓湯』と風邪薬とを併用すると、治療効果が高まります。
強いストレスを受けたりする精神不安があったりと、胃やみぞおちの周辺が緊張して硬くなり、つかえや吐き気を感じます。そうなると胸がやける、げっぷが出る、みぞおちが熱く感じる、といった炎症性の胃腸症状を起こしやすくなるのです。こうした症状には「神経症」の効能もある漢方薬『半夏瀉心湯』が適しています。
普段から胃腸が弱く、夏場になるといっそう食欲が衰え、疲れやすくなるといった症状は“虚弱”タイプ。食べすぎたわけではないのに、胃が弱く吸収する力がないので、常に軟便・下痢気味です。こうした症状には『六君子湯』がお勧めです。この漢方薬には消化機能を促進して、胃腸の働きを立て直す働きがあります

*便秘によい漢方薬*
人間にとって便は健康状態を知る大切なバロメーターです。便は食べ物のカスだけでなく、腸内細菌や消化液の残骸などさまざまなものが含まれています。こうしたものを体内に放置しておくと、新陳代謝が進まず、お腹の張りや肌トラブル、肩こり、腰痛など、多様な症状が起こるようになります。特に女性にとって吹き出物や、肌のハリが失われる原因になるなど、美容上の大敵ともいえます。
漢方では、便秘は体の中に“ひずみ”が起こることによって発生すると捉えており、そのため便を出すだけでなく、体のバランスを調整することが治療の基本です。
A:“食欲旺盛型”の便秘は『防風通聖散』ですっきり
B:“痔持ち型”には『乙字湯』
C:腹痛(鬱血)を伴う便秘に大黄牡丹皮湯


*不眠・不安によい漢方薬*
快眠、快便という言葉があるように、夜ぐっすり眠れることは健康の基本です。しかし、寝つきが悪く眠れない、途中で何度も目が覚める、早く目が覚めてその後眠れなくなる、といった不眠症に悩まされる人が最近は増えています。こうした不眠を起こす原因には、生活環境の変化やストレス、病気などの身体的原因、薬物による原因や中毒、年齢的な原因などがあげられます。
不眠の原因がはっきりしている時は、それに応じた対策がとられますが、大部分の不眠症は不安感や神経症などストレスに起因するもので、治療は意外に難しいです。こうした「心」の領域に適しているのが漢方薬です。 不眠の漢方治療の特長はぐっすり眠れること。そして依存性がなく、最終的には、薬に頼らなくても眠れることを目指します。
A:虚弱体質で神経がたかぶり、不眠を呈するものには『抑肝散』『加味帰脾湯』
B:時々逆上するなど精神が激しやすく、“イライラ型”には『加味逍遥散』『柴胡加竜骨牡蛎湯』


*手足や腰、全身の「冷え」に対応する漢方薬*

私たちの体の中には、陽気というエネルギーが全身をめぐっています。陽気は経絡という通路を通りながら、全身を温める働きをしています。ところが何かの原因で陽気が滞ったり不足したりすると、体を温めるエネルギーが不足して冷えが生じます。
冷えの原因は「実」の冷えと「虚」の冷えに分けられ、「実」の冷えは、経絡を流れる陽気が滞り、円滑に流れなくなって起こります。最も大きな原因は冷えそのもの。冷えを受けると体が収縮するだけでなく、経絡も収縮して陽気の流れが悪くなります。そのため栄養やエネルギー物質が体内に行き渡らなくなって冷えが生じるのです。「実」の冷えは手足や腰など“部分が冷える”ことが特徴です。
一方「虚」の冷えは、陽気そのものの不足によって起こります。原因は加齢による場合と、病気による場合と、虚弱体質や体力低下による場合があります。「虚」の冷えは“全身が冷える”という特徴があります
A:「実」の冷えタイプは『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』、冷えのぼせは『桂枝茯苓丸』、不安を伴う冷えは『加味逍  遥散』
B:「虚」冷えタイプに『八味地黄丸』、気血不足タイプは『十全大補湯』、『人参養栄湯』


*アレルギー性鼻炎(花粉症)によい漢方薬*
アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキ花粉などのように季節性のものと、ダニ、カビ、ハウスダスト(ほこり)など1年にわたって起こる通年性のものとがあります。同じ環境の中にいても、症状が出る人と、まったく無反応の人とがいますが、どこに両者の体質の差があると考えられます。
漢方薬を用いて、体質改善を図り、そして、眠気がなく、仕事や運転にも影響が出ないです。
A:花粉症に代表される“冷え”の鼻炎には『小青竜湯』
B:慢性鼻炎には『葛根加川芎辛夷』、風邪を伴うの鼻炎には『荊芥連翹湯』

漢方の診察は「望診」「聞診」「問診」「切診」
漢方における診察は4つ。「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」「問診(もんしん)」「切診(せつしん)」です。
望診 顔色や肌の色つや、表情、皮膚の状態などを見ます。また、姿勢や体型、動作にも注目。場合によっては、お腹や足の様子を診察することもあります。西洋医学と違うのは、舌を念入りに診察すること。舌の色や質、形のほか、舌苔、溝、歯型の有無などをチェックします。
聞診 声の調子、咳がないかどうかを調べます。耳で聞くだけでなく、体臭や口臭、排泄物のにおいをかぐこともあります。
問診 患者に質問を投げかけ、自覚症状を聞きます。
切診 脈や腹の状態を触診します。
自然界は陰陽で成り立っている!
古代中国では、万物は相反する二つの要素、「陰」と「陽」で成り立っている、と考えられていました。たとえば、「天と地」「昼と夜」「男と女」など。このバランスが崩れると、天候不順や天変地異などの災いがもたらされると信じられていたのです。
当然、人体にも陰と陽があります。陰陽のバランスが崩れると、さまざまな不調があらわれ、やがて病気になってしまいます。したがって、ふたつの要素がつねに調和を保つように心がけることが大切。この調和の保たれた状態を「中庸」といいます

からだを作る三要素 気・血・水
漢方では、人間の生命活動は「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つの要素によって成り立っていると考えられています。3つのバランスが保たれていれば、「正気(せいき)」が生まれ、健康を保つことができます。しかし、外からの病原菌や、ストレス、不摂生、心労などでバランスが乱れると、病気や心身の不調が生じやすくなります。
■漢方ワンポイント!
漢方で用いられる器官や内臓の名称・機能は、西洋医学で使われるものとは必ずしも一致していません。ここでは、とくに耳慣れないものについて簡単にご紹介しましょう。
肝…情緒系中枢、自律神経系、運動神経系、肝臓の部分的機能をつかさどる
脾…消化器系、水分代謝の一部、栄養代謝、抹消循環をつかさどる
胆…排泄・消化の促進、胆汁の貯蔵と排泄をつかさどる
三焦…水分代謝全般を指す機能系