神奈川県大和市漢方、漢方医、漢方外来、漢方内科、漢方皮膚科、漢方婦人外来、内科、皮膚科、整形外科、小児科、リハビリ科

Okabayashi Clinic

TEL.046-262-4885

〒242-0021神奈川県大和市中央1-1-2第二近藤ビル2F

漢方関係

高齢者における漢方治療の意義

第一に高齢者の最大の特徴は、一人が複数の慢性の多臓器の疾患に罹患していることが多いということです。西洋医学では病名に対応して薬剤が投与されるために投与される薬剤の数が多くなり、そのための副作用が出やすくなる。一方漢方治療では一つの薬剤が多くの薬効を有しているので、投与する薬剤が少なく済みます。また、西洋薬に比し、重篤な副作用が少ないので、長期投与に適しているという特徴があります。

第二に高齢者では個体差が極めて大です、西洋医学ではこの個体差にあまり注目せずに薬剤を投与するが、一方漢方治療では患者の“証”に合った薬剤を投与します。すなわちケース・バイ・ケースの対応をするという特徴があります。

第三の高齢者の特徴は生体防御力が低下しており、感染症や悪性腫瘍に罹患しやすいということです。西洋薬には免疫賦活作用を有する薬剤が少ないが、漢方薬の中に柴胡剤のような免疫賦活作用を有する薬剤が多いという特徴があります。漢方医学の考え方として、病気に勝つためにまず体の免疫力、抵抗力を高める必要があり、そのため沢山の補剤が存在します。

第四の特徴は高齢者では自覚症状はあるが他覚的所見に乏しく、診断がつかない症例がしばしばあるということです。西洋医学では診断がつかないので対応が困難であるが、漢方治療では“証”として捕らえ、対応できるという特徴があります。また体にやさしいため高齢者に適していると考えられます。

慢性疲労症候群と漢方治療

検査で異常がないのに、いつも疲れる、どうすれば良いか?

慢性疲労症候群という病気としての「疲労」は認められながらも、原因はいまだ分かっていません。検査では異常が見つからないのに、いつも疲れやすく、全身倦怠感、食欲不振、集中力の低下、めまいや立ちくらみ、手足の冷え、慢性的な下痢や便秘、朝に弱いなど・・・。漢方医学では、これらの症状を消化機能の低下によるエネルギー不足と考え、漢方薬を用いての治療をしています。

何のつながりもないような症状も、脾胃の機能低下が原因であれば、衰えた脾胃の力を補って、全身に栄養物をめぐらせるエネルギーをつくり出すのが「補中益気湯」の主な作用です。

補中益気湯が適応する病気には、胃下垂症、慢性下痢、子宮脱、痔などの内臓下垂、女性の月経過多、不正出血、帯下、老人性失禁、子供の夜尿症、眼瞼下垂、筋無力症などがあり、いずれも固摂作用の低下によるものです。
補中益気湯は、脾胃の機能低下に着目し、この脾胃を回復させることで、目覚めや胃腸の回復、立ちくらみ、スタミナ、発汗、頻尿、下痢などに効果があります。

補中益気湯は、元気不足を補うという意味なのです。だから、慢性疲労の特徴的な症状にあてはまるものだといえます。

中国の病院では、精密な診断の上、きわめて有効に補中益気湯がさまざまな病気に適応されています。

アトピー皮膚炎の漢方治療

アトピー性皮膚炎の発症には、IgEに付着しているランゲルハンス細胞、マスト細胞、Th2細胞が複雑に絡みあっていると考えられています。漢方薬では小柴胡湯、柴胡桂枝湯などの柴胡剤基礎研究においてTh2優位の状態を正常化させることが証明されています。それによって、免疫調節機能が高くなり、痒みと皮疹の改善を認めます。アトピー皮膚炎に対し、ステロイド軟膏をよく使われています。突然の中止によるリバンドもよく見られます。患者様がもっとも悩んでいるのはステロイド剤を止められるかどうかの問題です。漢方薬はステロイドの減量とステロイドのリバンド予防には役立ちます。

アトピー皮膚炎の漢方治療は、年齢によって処方が異なります。乳児期の第一選択薬は小建中湯です。虚弱児で冷えを伴う、血色が悪い場合にはよく使用されています。幼児期には乾燥傾向が強くなるため、温清飲は黄連などを配合して、炎症を伴った乾燥性皮膚疾患に用いられます。学童期と成人期は乾燥傾向がさらに強くなり、特に顔面皮疹は難治性となります。この顔面皮疹には白虎加人参湯と黄連解毒湯が頻用されます。

筆者の経験では軟膏と西洋薬と漢方薬は一緒に使うことは効果が一番良い。ステロイドの依存性と副作用の軽減には漢方薬が役立ちます。悩んでいる患者様是非一度試してください。

漢方医学の特徴

漢方で「未病」を治し、病気になりにくい体を作ります。「未病」とは病気が本格的に発症する前の状態のことです。つまり「未病を直す」とは、病気になる前にその兆しを見つけて、病気が顕在化する前に防ぐことなのです。

西洋医学は健康状態を数値で測ります。しかし数値には表れていないのに異常が隠れている場合もあります。検査しても正常なのに、体の調子が悪く、症状が消えないときもあります。この場合は西洋医学が時々はお手上げですが、漢方医学では「問診」、「望診」、「切診」、「弁証論治」を通じて、治療できます。

漢方医学は環境や体内で起こるあらゆる変化に柔軟に対応できる体づくりを目指します。また、変化に体がうまく対応しきれず、体に変調が起こったときも、「未病」のうちに体調の回復をサポートします。このようにして「病気になりにくい体を作っていくことが漢方医学の目的です。

西洋医学は対症療法が多いのに対し、漢方医学は体の全体を診ます。例えば、頭痛の場合は、西洋医学が頭痛薬を処方しますが、漢方医学は頭痛の原因を考え、処方します。従って、頭痛を起こす原因によって、処方が違ってきます。また患者様の体格、性別、年齢によって、処方の内容と量が違います。

漢方薬は自然の花や植物やお茶などにより、構成するので体にやさしくて、副作用も少ないです。西洋薬にアレルギーや副作用を生じやすい方にお勧めです。